キララタケ近縁種 part2


キララタケの柄の剛毛(フロキシン使用)
或る顕微鏡的な特徴について、それが「有る」と言うことはたやすいかもしれない。しかし、「無い」と断言することは、もっと難しいように思える。
「そりゃ、あんたの見方が足りないだけじゃない?」と言われて、「いーや、絶対にない!」と言い切るには、相当にしっかりと検鏡していなければならないからだ。
私は、キララタケの乾燥標本で上の写真のような柄の剛毛をあっさり確認できたことで、「件のコプリヌスの柄に関しては剛毛はない!」とやっと確信が持てたのである。
ちなみに、この「キララタケ近縁種」の項には、柄のシスチジアの写真を無柄・有柄合わせて6点載せてある。縁シスチジアや側シスチジアはそれぞれ1点しか載せていないのに、柄のシスチジアに限って6点も載せた理由は、ひとつには、「柄はそのくらい検鏡した。けれど剛毛はなかった」ということを強調したかったからである。

さて、キララタケでなければ何なのか?
図鑑やネットで調べたところ、キララタケ節のなかにCoprinus saccharinus(コプリヌス・サッカリヌス)という種があって、これが似ているようだ、と見当をつけた。
「Les champignons de France」というフランスの図鑑では、Cprinus micaceus(キララタケ)の項で付記として近縁のC. saccharinusの名をあげ、キララタケと区別する特徴として、その柄の表面がpresque glabre(ほとんど無毛・平滑)であることを指摘している。(注)
また、ドイツの「1200PILZE」というきのこ図鑑にはC. saccharinusの写真が載っており、それを見た瞬間、「そっくりだ! こりゃ、サッカリヌスに間違いないぞ」と思ってしまったのである。

(注)
C. saccharinusの柄について原記載では、幼菌時はfarineux(粉状)と記されている。
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