コゲチャワタカラカサタケ
Lepiota ventriosospora


On September 14, 2003. On Mt. Fuji

手持ちの図鑑でコゲチャワタカラカサタケを紹介しているのは「原色日本新菌類図鑑」だけで、しかもワタカラカサタケの項の最後にたったの1行「コゲチャワタカラカサタケは傘の鱗片がこげ茶色を呈する」と書いてあるだけである。
もうちょっと詳しい資料がほしいところで、「これがそうなんじゃないかなぁ」といういささか怪しい同定である。
ただ、鱗片の色以外は傘もひだも柄もワタカラカサタケに概ねそっくりだし、胞子形状もよく似ている。少なくとも近縁種であることは間違いないところだ。
学名となるとさらに怪しいのだが、ドイツの「Pilzgarelie」というサイトに、どう見てもこれと同じ!というきのこが載っているので、それにならうことにした。
学名Lepiota ventriososporaは「腹の膨れた胞子のレピオータ(キツネノカラカサ属)」という意味で、肥えた線虫類のような胞子形状から名付けられている。
アメリカの「MycoWeb」では、Lepiota magnispora(大きな胞子のレピオータという意味)の項で、L. ventriososporaをL. magnisporaのシノニムとして扱っている。
しかし、トップに掲載されている写真は、どう見ても私の撮った個体とは別種に見える。ただ、私のレピオータくんと同種と思われるテーラー・ロックウッドさんの写真や、前記ドイツサイトの写真にもリンクしているので、MycoWebの編集者にとってはこのきのこもL. magnisporaということになりそうだ。
傘径5センチ前後と小さいのだが、フレッシュな状態のときはハッとするほど美しい。富士山の針葉樹林(コメツガ・シラビソ・モミ)でしか見たことがない。

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