オオカバイロヒトヨタケ
Coprinus auricomus Pat.


2000.05.17 東京・浮間公園で

小さなヒトヨタケ属のきのこは、マクロ撮影の得意なデジカメには恰好の被写体だ。中でも私は、傘の真ん中に円盤のあるヒトヨタケに魅力を感じる。例えば、ヒメヒガサヒトヨタケ、コツブヒメヒガサヒトヨタケ、カバイロヒトヨタケ、オオカバイロヒトヨタケ、マグソヒトヨタケなどがそれで、いわゆるヒメヒガサヒトヨタケ節のきのこである。節というのは属と種の中間で、共通の特徴を持つ種を束ねるために用いられるカテゴリーだ。
円盤のあるきのこが好きというのは、かりに野鳥にたとえれば、頭のてっぺんだけ赤いクマゲラが好きだというのと感覚的には似ているように思う。クマゲラがただの真っ黒いキツツキであったら、魅力は半減してしまうだろう。いわば頭の赤はおしゃれポイントであり、きのこの円盤も同様だと思うのである。
オオカバイロヒトヨタケは、ヒトヨタケの中でも発生時期が早いほうで、今年は五月中旬から見ているが、年によっては四月から出始めることもあるようだ。傘径は開ききった時で最大5センチ程度、柄の長さは最長12センチ程度である。本来、傘表面の色はその名のように樺色(=蒲の穂の色)なのだが、成長段階で白っぽくなることが多い。これがちょっと不思議だった。
気温が高く、きのこの成長が速い時に、その成長に追いつかない表皮が条線に沿ってひび割れ、下の肉が晒されるために白く見える、ということのようだ。傘は溶けないが、老いるにつれて灰褐色になり、内側に巻くように縮み、まもなく倒れてしまう。 ひだは最初は白、やがて黒褐色になる。楕円形の胞子は褐色。

            Other photos


Home   和名索引   学名索引