Psathyrella pervelata Kits van Wav.
ナヨタケ属の一種


2001.11.14 さいたま市で

カバイロタケを撮りに行った公園で見つけたきのこ。同定できそうもないと思ったが、いちおう写真だけ撮っておいたところ、後日、スイスの図鑑に載っていたので名前がわかった。最初はこれとそっくりのPsathyrella sacchariolensのほうだと思ったのだが、胞子サイズや柄シスチジアの有無など、いくつかの相違点にもとづいてP. pervelataと同定した。
両者を区別する、もっとも明瞭なポイントは匂いである。P. sacchariolensには甘い香りがあるという。しかし、P. pervelataはほとんど匂わない。写真のきのこも匂わなかった。
日本の図鑑には載っていない種なので、スイスの図鑑に書かれた特徴をかいつまんで紹介しておく。

発生環境
夏から秋、地面または腐った木に群生。私が見たのは晩秋で、土混じりのウッドチップ上である。

傘径は20〜35ミリ、はじめ半球形で、のち丸山形、老菌になっても丸山形以上には開かない。色は黄土色。スイスの図鑑には縁に向かって色が淡くなると書いてある。私は写真のようなフレッシュな幼菌と、数日後の老菌(からからに乾いて乾燥標本のようになってしまっていた)しか見ていないのだが、おそらくその途中の成長段階で縁に近いほうから色褪せていくのではないかと思われる。幼菌時は白い鱗片で覆われているが、のち無毛。ただし、成長しても縁には白い被膜が残る。

はじめ白っぽく、のち薄茶色。匂いはなく、味にもクセはないと記されている。
ひだ
上向直生。若いときは白っぽく、のち灰色がかったベージュ色、老いて紫がかった灰褐色。

40〜60 × 3〜6ミリ。若いときは中実で、老いて中空。表面は白い鱗片で覆われているが、環状部分より上は鱗片が少ない。

胞子は赤褐色。スイスの図鑑にはdingy red-brown(黒ずんだ赤褐色)と書かれているが、ドライマウントで覗くとそのようにも見える。

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