ワタヒトヨタケ
Coprinus flocculosus (DC.) Fr.


2001年5月2日、浦和市郊外で

去年も一昨年も見ているはずのきのこだが、ワタヒトヨタケだと気づいたのはつい先日のことだった。成菌はネナガノヒトヨタケに似てないこともないが、傘の色が違うし、鱗片の厚みも違う。だいいち柄が幼菌の時からつるつるという点が決定的にネナガノとは異なる。また、柄の根元が棍棒状に太まっており、この点も特徴的といえる。図鑑の記述と照合したり絵合わせするとワタヒトヨタケにぴったり。次いで胞子を顕微鏡で覗くと、発芽孔が中心からずれた偏心性であることがわかった。偏心性の胞子なんて全然珍しくもないのだが、いちおうワタヒトヨタケの特徴の一つではある。 問題は子実体のサイズで、保育社の「原色日本新菌類図鑑」(平成7年発行の2刷)には柄の長さが3-5cmとあるのだ。そんな馬鹿な!と思い、青木実の図版を調べてみると5-9cmである。さらにスイスの図鑑では5-11cm、オランダのキース・ウージェさんが運営するヒトヨタケ専門サイトを見ても3-8cmとあり、これくらいなら納得できる。なにしろ見沼たんぼのワタヒトヨタケの中には20cm近いビッグなやつがあるのだ。平均的には10cm前後だが、傘が開いていない状態では5cm程度のものも少なくない。傘径は最大で4.5cmくらいだ。 強く雨が降ったあとでは、白い鱗片が根元の地面の上に散らばっていることもある。私の感覚ではなかなか風情のあるきのこと思うのだが、どうだろう。

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