ビロードヒトヨタケ
Coprinus aokii Hongo


1999年5月5日、浦和市郊外で

ウッドチップをまいた公園などでよく見かけるきのこ。もっともありふれたヒトヨタケといってよいが、市販の図鑑でこれを載せているのは原色日本新菌類図鑑(保育社)のみである。命名者は日本のきのこ分類の草分けである本郷次雄博士(滋賀大学名誉教授)。Coprinus aoki Hongo のaokiiとは、埼玉県在住の伝説的なきのこ研究者・青木実の名をとったものだ。分布については「埼玉・滋賀」とのみ記されているが、たぶん日本中あちこちで見られるのではないだろうか。
傘径2〜3cm、幼時は細長い卵形で、のち釣鐘型から平らに開き、ついには縁がそりかえる。表面ははじめ栗褐色、のち淡黄褐色、成熟すると淡い灰褐色。傘が開ききった段階でも頂部を中心に黄褐色の色合いが残るが、かなり灰色っぽい色調になる。また、乾くと白っぽくなる。肉眼では一見無毛のように見えるが、傘表面には類白色の微毛が密生する。これが和名の所以だろうか。
肉は極めて薄く、味や匂いはない。ひだはほぼ離生し、幅1〜1.5mmと狭い。はじめ白色のち暗灰褐色から黒色となる。柄は40-100mm x 1.5-2mm、白色、中空、表面には微毛が密生する。春〜秋、ウッドチップや腐木、古い藁などの上に単生〜群生。
胞子 担子器
胞子は楕円形。担子器は4つのステリグマ(小柄)を持つ。ビロードヒトヨタケによく似たきのこにヒメキララタケモドキ(Coprinus bisporus)があるが、後者はbisporus(2胞子の意味)とあるように担子器に2つのステリグマしか持たない点で区別できる。

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