ハマシメジ
Tricholoma myomyces Lange


98.12.08 九十九里浜(千葉県)で

クマシメジとハマシメジは大変よく似ているキノコのようだ。両者の判別点の一つとして、ハマシメジには幼菌の傘の縁から柄にかけてクモの巣膜状の皮膜(コルチナ)があるが、クマシメジにはそのような皮膜はない、とされる。
しかし、上の写真を撮ったクロマツ林で幼菌をメインに40本くらいを、また10数km離れた別のクロマツ林で径1センチ未満の幼菌を含む10数本をチェックしたが、皮膜はもちろん、その名残すらはっきりとは確認できなかった。したがって、上のキノコはクマシメジだ!と決めつけたいところだが、自分より詳しい人から「ハマシメジのほうですよ」とあっさり言われてしまった。どうも海岸のクロマツ林のこの手のキノコは、だいたいがハマシメジのようである。
皮膜なんかないぞ!と言い返したいところだが、皮膜付きの個体が見つからないのは探し方が足りないということかもしれない(キノコ道は厳しいのだ)。二転三転したが、いちおうハマシメジにしておく。年内は、もう日も短く寒いし、乾燥してキノコもなさそうなので、車を飛ばして海岸まで行く気力がない。日が伸びて少しは暖かくなったら、もう一度「皮膜付きのハマシメジ」を見つけ出して、納得のいく結論を出したいと思う。 (98.12.15)
追記
フランスのきのこを紹介したR. Courtecuisse著"Les Champignons de France"(1994)には、ハマ(T.myomyces)とクマ(T.terreum)の絵が2つとも掲載され、傘の色の違い、柄の繊維質の微妙な違い、さらには断面の違いなどで、この2種を描き分けている。その絵と見比べてみると、やはりこれはハマシメジのようだ。クマシメジのほうは傘の黒みが強く柄が白いのに対して、ハマシメジの傘はむしろ茶色であり、柄には茶色っぽい繊維をわずかにまとっている。とくに柄の上部にはコルチナの名残のような繊維が見られる。また、傘から柄にかけての断面を見ると、ハマシメジのそれはほぼ白いが、クマシメジの断面は部分的に黒ずんでいるようだ。 (99.04.30)

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